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2021年6月2日水曜日

研修医オンライン勉強会「藤田医科大学 岩田充永先生の救急カンファレンス」(2021.5)

藤田医科大学 救急総合内科教授岩田充永先生には
月に一度当院のER症例振り返りカンファレンスにファシリテーターとしてお越しいただいています.救急外来で経験した悩ましい症例や勉強になる症例,みんなに共有したい症例を岩田先生といっしょに振り返ります.
5月28日のカンファレンスはオンラインで開催されました.

今回の症例提示は,研修医1年次のS医師.
現在ERをローテーション研修中のS医師が,平日日勤帯の夕方に担当した症例です.
勤務の引継ぎの時間帯はエラーが起こりやすい時間帯であることを意識しておいたほうがよいですね,と岩田先生のコメントがありました.

ショートステイ利用中の80代男性,その日のお昼頃にトイレへ行って排便後にレベル低下と血圧低下がみられました.その1時間後再度排便後に意識消失を繰り返し,血圧上昇がみられず,施設の看護師の方が救急要請をしました.病院到着時にはショックバイタルでした.

「高齢者の頻回の便意という点は,気持ちの悪い主訴ですね.急変の前のサインであると覚えておいた方がよいです」と岩田先生.
処置をしながら鑑別診断をすすめていく必要がありますが,どんな処置をしますか?
と,会場に集まった研修医たちに岩田先生が問いかけます.
“サルも聴診器”
重症の患者さんが来院したときには,まずはこれ!
サ…酸素
ル…ルート
も…モニター
聴…超音波
診…心電図
器…胸部レントゲン

頭では理解していても,実際に動けないと意味がありません.
言うのは簡単ですが,行動するのは難しいものです.
重症の患者さんが来たら,体が勝手に動くようにしたいですね.
1年目の夏くらいまでには“サルも聴診器”が10分以内に自分でできるようになること,
2年目は適切に指示が出せるようになること,これが目標ですね.

それから,既往歴と飲んでいる薬については,すべてリストアップすることも重要です.
また高齢者の場合にはADLの変化も見落としてはいけないポイントです.ADLの変化が数日間に渡っているのか,当日中の急激なものか,それが重症かどうかの判断の手がかりとなることも多くあります,と岩田先生からコメントがありました.

検査の結果,この患者さんは脾臓破裂していることがわかり,すぐにIVRでの治療が行われました.
脾破裂の原因は何だったのでしょうか?
杖歩行と車椅子利用をしていたということから,転倒歴がないか?
特に高齢者の場合,虐待歴はないか?確認が必要です.

1年目のS医師にとって,なぜ脾臓が割れているのか?非常に驚いた症例で,学びの多いものとなりました.
S医師の経験した症例を参加した研修医全員で考え,ERでの思考過程を共有することができました.1人でできる経験は限られますが,こうして1人の経験を共有することで全員がレベルアップできます.

岩田先生,ありがとうございました.
次回は6月末に開催予定です.
卒後教育研修センター

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