★愛知県,名古屋で初期/後期研修を考えている医学生/研修医のみなさんへ★

当センターは,実り多き充実した研修生活が送れるよう,教育熱心な指導医と事務担当がチームとなって初期/後期研修医のみなさんを積極的にサポートしています.

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日頃の研修や勉強会の様子など当院の研修を体感いただけるような記事や,病院見学,説明会,採用活動関連の情報を随時発信してまいります.

興味のある方はのぞいてみてくださいね...φ(´ω`。)




2020年9月28日月曜日

研修医オンライン勉強会「藤田医科大学 岩田充永先生の救急カンファレンス」(2020.9)

 藤田医科大学 救急総合内科教授岩田充永先生には

月に一度当院のER症例振り返りカンファレンスにファシリテーターとしてお越しいただいています.

9月25日の救急カンファレンスも前回と同様Webex Meetingsを利用してオンラインで開催されました.


今回の症例提示は研修医2年次のM医師.

今年1月,M医師が1年次でERをローテーションしていた時に担当した症例です.

午後5時頃,ちょうど日勤帯から当直帯に引継ぎをしている時間でER内は少しバタバタとしていました.

90歳代の男性,SpO2低下と不穏が主訴の患者さんです.

入所中の施設内の浴槽に顔をつけた状態でうつぶせに浮いているところを施設職員が発見し救急要請しました.

男性はADL自立しており,普段から一人で入浴していました.その時は浴室内で気を失って浴槽に倒れたようでした.

到着時,意識レベルⅠ-3,顔面蒼白,頻呼吸,顔を横に振り呼吸苦を訴えて不穏が強くありました.

SpO2低下は水をたくさん飲みこんだことによるものだと考えられました.

では、なぜうつぶせで浴槽に沈むようなことになってしまったのか,原因はどのようなことが考えられるでしょうか?

岩田先生から質問が投げかけられます.

M先生はその時,意識障害の原因は何だと疑って検査をしていたのですか?

M医師は「当時1年次だった自分は,意識障害の原因究明にまで気が回っていませんでした.苦しそうにしている目の前の患者さんをどうしてあげたらよいのかと考えるだけでいっぱいだったように思います」と話しました.

患者さんは誤嚥,陰圧性肺水腫の疑いでHCUに入院となり,その後1週間ほどで呼吸状態は改善し退院されました.

意識障害には必ず何か原因があるはずです.起きている事態(患者さんの今の状態)に対処しながら,原因探索を同時に進行していかなければなりません.今回の症例は,原因究明はできなかったですが,起こった事態に対しては上手く対処できた…

これはモヤっとする症例でしたね,と岩田先生.しかしこのようなケースはよくあります.高齢者の場合,真水の誤嚥だけであっても肺水腫になる危険性があるということを1年次の先生たちには知っておいてほしいです.

岩田先生からは,意識障害・失神の原因究明の考え方や,NPPV装着時,プロポフォール使用の際の注意点などについて解説がありました.

M医師が担当した症例について参加した研修医全員で考え,ERでの思考過程を共有することができました.

岩田先生,ありがとうございました.

次回は10月末に開催予定です.

卒後教育研修センター

2020年9月8日火曜日

病院見学受け入れ再開のお知らせ

 2020年9月8日より病院見学受け入れを再開いたしました.

受け入れには条件がありますので,詳細は当院ホームページをご覧ください.

名古屋医療センターHP 病院見学のご案内

なお,個別WEB診療科説明会も引き続き随時受け付けております.

名古屋医療センターHP 個別WEB診療科説明会

医学生のみなさん,ぜひお気軽にお申込みください.

卒後教育研修センター

2020年9月1日火曜日

研修医オンライン勉強会「藤田医科大学 岩田充永先生の救急カンファレンス」(2020.8)

 藤田医科大学 救急総合内科教授岩田充永先生には

月に一度当院のER症例振り返りカンファレンスにファシリテーターとしてお越しいただいています.

8月28日の救急カンファレンスはオンラインで開催されました.


今回は研修医1年次のY医師が症例提示をしました.

5月,ERローテが始まって間もないある日,朝8:20頃の当直帯からの引継ぎの時間に救急搬送された患者さんです.

患者さんは70歳代の男性,社宅に住んでいる隣人がバタンという音を聞いて玄関の戸を開けると男性が倒れているのを発見,救急要請しました.男性は意識を失って倒れたようでした.

救急隊によると,男性は意識を取り戻し,開眼しているものの目線が合わないようだということです.倒れたときに頬を打ち,擦過傷がありました.

到着時,少しぼんやりした印象ではあるものの意識はクリアな状態で,SpO2が低下していました.患者さん本人によると,トイレに行こうとしたら嘔気を感じ,その後倒れたようだということでした.

Y医師は,JCSは0と判断.SpO2低下ですが胸部レントゲンには肺炎などの所見は認めません.

ここで岩田先生からの問いかけ!

JCSが0かⅠか,それによって鑑別が変わってきますよね⁉

失神プラスSpO2低下はどんな鑑別が挙げられるでしょうか?

岩田先生の問いかけに,参加した研修医たちは考えます.

Y医師は不整脈を疑い,心電図と心エコーの検査を行いましたが不整脈の兆候は認めませんでした.次に行うべき検査として,転倒時に擦過傷ができるほど頭を打っていることから,頭部CTが必要ではないかと考えたY医師でしたが,上級医は体幹部の造影CTをオーダーしていました.

ここで岩田先生からの問いかけ!

Y先生は何を疑ってその検査が必要だと考えたのでしょうか?

自分の考える検査と異なる検査を上級医が行っていて,Y先生はどう思ったのですか?


造影CTの結果,肺塞栓症であることが判明し,患者さんは循環器内科の専門医のもと適切な治療を受けることになりました.


あとから振り返ると,所見,検査結果,すべてが線となってつながりますが,経験しないとわからないものです.早い時期にこのようなケースを経験できたことはY先生にとってよいことでしたね,と岩田先生.ERでの診察の鉄則は○○を疑って××の所見を探しに行くという診方,そして自分の考えと違うことを上級医が行っていたときにはその場でなぜそれが必要なのか聞けるといいですね,とおっしゃっていました.

研修が始まって1か月足らずの時期だったY医師にとって,今回の症例はとても学びの多いものになりました.

1人で経験できる症例は限られていますが,こうして1人の経験を共有することで全員がレベルアップできます.

1年次,2年次研修医とレジデントやスタッフ医師も参加し,充実した勉強会となりました.

岩田先生,ありがとうございました.

次回は9月末,オンラインでの開催予定です.

卒後教育研修センター