3月6日,
平成31年度初期臨床研修医の研修修了発表会を行いました.
2年間の初期研修を振り返って,印象に残った症例や,深く考えさせられた患者さんやご家族とのかかわり,自分を変えた出来事など,14名それぞれの想いが詰まった発表となりました.14名みんなの2年間の苦悩や重圧,喜びや成長,心の変化などをうかがうことができました.
2年前の入職時オリエンテーション時,ある指導医の
「休日はデートの前に回診に行け」
という言葉を聞いて,たいへんな職業を選んでしまった…と思いながらも,
“人の為に尽くす”
という初心を心に刻み,不安いっぱいのスタートをきったK医師.
この初心を貫くために「患者さんの元にたくさん行こう」と決めました.
呼吸器内科ローテ中に,指導医の先生に手取り足取り教えてもらいながら冷や汗びっしょりになって胸腔穿刺をした患者さんから
「呼吸が楽になったよ.ありがとう」と声をかけられた時,自分が初めて誰かの役に立ったかもしれないと感じた瞬間だったといいます.その日からその患者さんを担当させていただくことになり,体を動かすことが困難な患者さんに代わってコンビニで飲み物や新聞を買っては病室へ届ける毎日が続きました.呼吸器内科ローテが終わってからもその関係は続き,いつの間にか信頼関係が出来上がっていました.
ある日,その患者さんが病室でぽつりと
「死ぬのってやっぱりなんだか寂しいなあ」
と仰った言葉が今でも忘れられない言葉としてK医師の胸に深く刻まれています.
呼吸器内科ローテが終わったあと,外来治療が可能になった患者さんは自宅退院となりましたが,しばらくして当院ERに心肺停止で搬送され亡くなりました.K医師も主治医の先生に呼んでもらい手を合わせることができました.とても悲しい経験でしたが,こんなに深くかかわらせていただけたことに心から感謝した出来事であったと発表しました.
K医師は,
「研修医だからこそできることがある.上級医の先生方にはない“時間”が,僕らにはあります.その時間を使ってベッドサイドで患者さんの話をよく聞くと今後の治療に生かせる僅かな訴えやヒントがあることがわかりました.また患者さんに触れて得られる経験は何ものにも代えがたいということを実感しました.患者さんからの生の声を聞くことで,症状が頭に刻み込まれるという経験を何度もしました.ここまで患者さんと深くかかわれるのは研修医の特権であると感じました」と話しました.
「2年間で本当にたくさんの人の死をみました.逆に必死に生きる人もたくさんみました.生と死は反対のものですが,もっとも近くにあるものなのだと学びました」
4月から小児科へ進むK医師.最後に,これからも「怖い」という気持ちを持ち続けながら頑張っていきたいと決意を述べていました.
発表を終えたあとの,みんなの晴れやかな笑顔が印象的でした.
入職時以来の14名全員集合の貴重な瞬間でした.
研修医生活も残すところあと3週間です.
卒後教育研修センター
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