藤田医科大学 救急総合内科教授の岩田充永先生には
月に一度当院のER症例振り返りカンファレンスにファシリテーターとしてお越しいただいています.救急外来で経験した悩ましい症例や勉強になった症例,みんなに共有したい症例を岩田先生と一緒に振り返ります.
コロナ禍になってからはオンラインでの開催が続いていましたが,11月26日のカンファレンスは久しぶりにオフライン開催となり,研修医たちは「今日は本当に岩田先生がお越しになるんですね!今まで画面の中でしかお会いできなかった岩田先生に,会えるんですね!」と盛り上がっていました.クリニカル・クラークシップで実習中の愛知医科大学の学生さんも2人参加してくれました.
岩田先生がお越しになると聞いて臨床検査科の山本涼子先生は,「研修医のみんなを応援したくって…」とお菓子をたくさん差し入れしてくださいました.当院初期研修を修了された山本先生はいつも研修医たちのことを気にかけてくださっています.山本先生ありがとうございます.
今回の症例提示は,1年次のO医師.
ERローテ中の平日,救急車で搬送された50歳代男性のケースです.
主訴は吐下血ショック,宿泊中のホテルのベッドで倒れていたのを従業員が発見,救急要請しました.
O医師はさまざまな鑑別の可能性を考え,CT,超音波,心電図など検査を行いました.岩田先生は「これは難しそうなケースですね.●●を疑うけれど,そうだとするとこのバイタルとは矛盾する….診断はわからないけれど,とにかく治療を進めたいケースです.治療をすることで状態が良くなっていくのか,これからさらに悪くなるのか.ERでは答えの出ないケースかもしれませんね」とコメントされました.
患者さんはICUに入院,全身状態のサポートを続けることになりました.同時期にICUをローテ中で現在も患者さんの治療に携わっている1年次H医師が経過を報告していました.
カンファレンスの中で,
岩田先生「O先生はこの血液データを見て,どこが気になった?」
1年次O医師「△△と××が….〇〇は,すみません…,気にしていませんでした」
岩田先生「いやいや,同じデータ・数値を見ても,若い先生たちと僕たち指導医たちとでは着目するポイントが違うんだよね.それは悪いことでは決してないんです.そのすり合わせをするのがカンファレンスだからね」
というやりとりがありました.
会場に集まった研修医たちは,O医師のプレゼンと岩田先生のコメントに耳を傾けながら,「自分なら何を疑ってどのような検査をオーダーするかな?どんな情報収集が必要かな?」と,ERでの思考過程をイメージしていました.
岩田先生,ありがとうございました.
次回は12月末に開催予定です.
卒後教育研修センター