卒後教育研修センターでは年に2回,研修医のフィードバック面談を行っています.
研修医一人ひとりと,センター長または副センター長の先生が30分程ゆっくり話をします.
日頃の研修で良かったことや印象的だった経験,うまくいかなかったこと,悩んでいること,進路の話や休日の過ごし方など,話題は多岐に渡ります.
先日の面談で,副センター長の小暮先生は,手技が上手くできなくてひどく落ち込んでいるという1年次研修医に
「手技は準備とイメージが8割.ものを置く位置,足の位置,手の動かし方,目線の運び方,準備とイメージが整っていなければ上手くいかないのは当然です.上手な指導医をよく見て,その技術を盗み,繰り返し挑戦することで必ず上達しますよ.
ただ,手技が上手いことが医者としての能力が高いこととはいえません.もちろん上手であることに越したことはないけれどね.それよりも患者さんをきちんと診て,頭を使って考えることが大切.
たとえばERで,患者さんの訴えをどれだけ理解してあげられるかということを考えてみて.患者さんの訴えを聞く前にとりあえず血液検査!のようにしていないか,その検査は本当に必要なのか?鑑別は?入院すべきか?帰宅でよいのか?帰宅となったときに,その患者さんの訴えを本当にクリアしているかどうか.
とりあえず検査…のような無意味なルーティン化をしないこと.1例ずつ丁寧に診る,考える.これこそが何よりも大事だよ」
と話していました.
小暮先生「いま医師という仕事をしていて,怖いと感じる?」
研修医「はい,とても怖いです.ERでも,いつも怖い.いまは1年次という立場で上級医に頼ることが多いですが,2年次になって後輩ができたとき,さらに3年次になったときのことを考えると,本当に怖いです」
小暮先生「そうだよね.私も何十年と医師をしているけれど,今でも怖いよ.怖くないと思うようなら医師は辞めたほうがいい.その怖さに立ち向かうには,経験を積んで自分をステップアップさせること.やはり勉強することが大事だよ」
忙しい普段の毎日の研修の中では,自分のことを客観的に振り返る機会はなかなかないものです.
普段は悩みがあるようすや自身の弱みをあまり見せない研修医も,この面談のときは冷静に自己を振り返ることができるようです.
研修医たちはみんな自身の経験や思いを話し,指導医から褒められたりアドバイスをもらったりして,また明日からがんばろう!という表情で面談を終えていきました.
卒後教育研修センター
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