藤田医科大学 救急総合内科教授の岩田充永先生には
月に一度当院のER症例振り返りカンファレンスにファシリテーターとしてお越しいただいています.
9月25日の救急カンファレンスも前回と同様Webex Meetingsを利用してオンラインで開催されました.
今回の症例提示は研修医2年次のM医師.
今年1月,M医師が1年次でERをローテーションしていた時に担当した症例です.
午後5時頃,ちょうど日勤帯から当直帯に引継ぎをしている時間でER内は少しバタバタとしていました.
90歳代の男性,SpO2低下と不穏が主訴の患者さんです.
入所中の施設内の浴槽に顔をつけた状態でうつぶせに浮いているところを施設職員が発見し救急要請しました.
男性はADL自立しており,普段から一人で入浴していました.その時は浴室内で気を失って浴槽に倒れたようでした.
到着時,意識レベルⅠ-3,顔面蒼白,頻呼吸,顔を横に振り呼吸苦を訴えて不穏が強くありました.
SpO2低下は水をたくさん飲みこんだことによるものだと考えられました.
では、なぜうつぶせで浴槽に沈むようなことになってしまったのか,原因はどのようなことが考えられるでしょうか?
岩田先生から質問が投げかけられます.
M先生はその時,意識障害の原因は何だと疑って検査をしていたのですか?
M医師は「当時1年次だった自分は,意識障害の原因究明にまで気が回っていませんでした.苦しそうにしている目の前の患者さんをどうしてあげたらよいのかと考えるだけでいっぱいだったように思います」と話しました.
患者さんは誤嚥,陰圧性肺水腫の疑いでHCUに入院となり,その後1週間ほどで呼吸状態は改善し退院されました.
意識障害には必ず何か原因があるはずです.起きている事態(患者さんの今の状態)に対処しながら,原因探索を同時に進行していかなければなりません.今回の症例は,原因究明はできなかったですが,起こった事態に対しては上手く対処できた…
これはモヤっとする症例でしたね,と岩田先生.しかしこのようなケースはよくあります.高齢者の場合,真水の誤嚥だけであっても肺水腫になる危険性があるということを1年次の先生たちには知っておいてほしいです.
岩田先生からは,意識障害・失神の原因究明の考え方や,NPPV装着時,プロポフォール使用の際の注意点などについて解説がありました.
M医師が担当した症例について参加した研修医全員で考え,ERでの思考過程を共有することができました.
岩田先生,ありがとうございました.
次回は10月末に開催予定です.
卒後教育研修センター